2025年 ご復活  第100号  カトリック茨木教会発行誌


 

「復活の恵みを受け、新しくキリストと共に歩むために」

                                         清川泰司神父

2025年度も、高槻、茨木小教区共同体の主任司祭として司牧を任されることになりました。これで、両小教区での司牧は10年目になります。自分自身は、同じ小教区に長くいることは良くないと思っています。それは安住する危険を感じるからです。しかし、この任命の継続を受け入れ、神の前に弱き者としての自分を抱えながらも「神の御心」に従い、誠実に祭儀、宣教、司牧に取り組もうと思っております。よろしくお願いいたします。

これまでシスター深瀬、シスター橋本の協力を得、また、信徒の方々のキリストの教会に対する物心共の協力を得て、両小教区で司祭職の責務である祭儀、宣教、司牧を続けてきました。また、2025年度からはレデンプトール会の下瀬智久神父が協力司祭として司牧チームに加わります。この協力司祭の派遣により、これまで土曜日夕方の主日のミサも含め4回の主日のミサを一人で行ってきた負担が軽減します。その軽減する分を、キリストの救いを宣教するためにも「キリスト教講座」にも力を入れてゆきたいと思っております。

実は、この「キリスト教講座」は、司祭になってから、何処に派遣されても続けてきたことです。特に、この講座は、キリストを知らない方々の為に「聖書全体(救いの歴史)」を通してキリストの救いの真意を伝える為のものです。実は、このことは、私が生まれた頃にあった「第二バチカン公会議(1962-65)の教会の刷新と宣教の目標と繋がるものなのです。聖書全体に描かれる神の救いの真意を理解できない限り、第二バチカン公会議の公文書も、カテキズム[教会の教え]の真意は理解できず、ただただ、漫然と、教会の慣習を機械的に守り自己満足に陥る信者か、神顕示欲ではなく、単なる自己顕示欲の信者を生むに過ぎません。本当の意味での人類救済を望む神の御心を伝えたキリストを継承する教会は生まれないのです。

世界を鑑みるとITの発展により様々な情報や価値観が飛び交う中、イエス・キリストが伝えた「神の御心」が、人間の欲望を煽る情報の中で、あたかも見えにくくなっていることを感じます。しかし、聖書から、いつの時代も「神の御心」を見出す術(知恵)を掴み取るセンスのあるキリスト者(預言者・使徒・教父・聖人・名もなきセンスのあるキリスト者)は、少数であるが生まれてきました。彼らは、この世界の状況、自らの心の状況を見て神(愛と和解を求める神)と悪魔(弱肉強食と、そこから発展する対立や戦争を煽る存在)のせめぎ合いを見つめ、神の御心に繋がり真に人類の平和を求め、生き、祈る人々です。残念なことに、日本では、この信仰のセンスを掴み取り、育むための基礎的養成の場と、情報を得る場が極めて少ないと感じてきました。このような日本の教会の取り巻く状況だからこそ、時間をかけて、キリスト教の真意を伝える必要があることを痛切に感じてきました。その事から、今も働く、目には見えないキリストの働きをつかみ取るセンスを多くの人が持っていただきたいという思いから、時間をかけて「キリスト教講座」を行ってきました。それは、神に委ねられた時代と地域においての司祭としての私自身の使命だと感じているからです。

実は、コロナ禍、私は、「キリスト教講座」が出来ない時期がありました。その時、自分自身で、これまで深めてきた聖書理解をさらに深め、カトリック教会の伝統の礎である教父たちの書籍、また「第二バチカン公会議公文書」、「カトリック教会のカテキズム(教会の教え)」を再読し、その救いの源泉を確認し、本来、教会が継承しなければならない、キリストの救いとは何かについて、さらに確信を得ることが出来ました。

そのコロナ禍での体験を、それまでの講座に参加していたシスター橋本がYouTubeZOOMを使い講座を行うことを後押ししてくださり、また、参加者も探してくださり、2022年からキリスト教講座を再開することが出来ました。この3年間、毎年クラスを増やしながら継続し、3つのクラス(3年間コース[76]2年間コース[77]1年間コース[44]、信徒も含め延べ100人が視聴])が、この復活祭までに全て終了する予定です。この実りとして、今年の復活徹夜祭で、講座の参加者の6名の方が高槻教会で「入信の秘跡(洗礼、堅信、聖体)」を受ける予定です。また、プロテスタント教会から移籍する方が1人おられます。

実は、この「キリスト教講座」は、参加者に信者になることを強いることなく、ただただ「聖書全体」と「聖伝」を基にしたカトリック教会の信仰の本質を伝える為のものです。その為に、この講座を受けた人の多くは、それぞれの事情により洗礼を受けませんでしたが、何らかの変化を自ら感じているようです。その人々から「俯瞰的に人間存在と、自分自身を見つめることが出来た」とか、「神に新しくされるとは何かを身をもって感じた」、「人類史と世界の中での私の存在意義を発見した」とか、「これを知らないことは、人生の半分、損して生きてきたことを知った」との感想も聞きました。そして、多くの参加者が、自分本位の神認識、そして正義、愛の小ささを感じ、「神の御心」が示したすべての人の救いを望む神の正義、愛、その義(粘り強さ)を実感し、周りの人との関係、家族との関係が変わったという声も聞きました。

さらに、この講座を受けた信徒の中には「今までの信仰を恥ずかしく感じ、この歳になってからも、神に新にされる感覚を得、喜びを感じる」というスマホでYouTubeを視聴をする高齢の信徒の感想も聞きました。その中には病床で視聴してくださる信徒もいます。さらに、長きにわたり教会で奉仕してきた信徒の方が「実は、神の存在を信じられなかったが、今では、神は人類にとっても、私にとっても必要な存在であることを感じる」という声も聞いています。私自身も、この講座を続ける中で、受講者が神を見出すことで、変化している姿を感じてきました。このことについては、シスター橋本も同様のことを感じているようです。しかし、中には様々な事情で、途中で、お辞めになった方もおられます。それは、仕方がないことです。人間には、時があるからです。

2025年度も、神から高槻、茨木での宣教のチャンスを与えられたので、新たに「キリスト教講座」を行う予定です。新しく参加したい方、また、もう一度参加したい方、さらに、途中で辞めた人も再度挑戦できます。この講座は、私の将来の転勤も考え1年間のコースで行います。

尚、茨木教会では、420日、「復活祭のミサ」のパーティーの後、13時から講座参加についてのオリエンテーションを行います(高槻教会では426日(土)1330分、5月4日()1015[会場:カトリック高槻教会:右近会館]で同じオリエンテーションが行われます。)

 

 

 

 

 

 


             

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